浅野太志 songe a Paris

パリでエテイヤ・タロットの取材を終えた、占い師・浅野太志の日々の活動をつづります。

あえて勝負に出なければならない時もある

 今日の関東地方は雨…
 外ではやけに、かなり激しく振っているようです。

 人生というのは、時にはかなり危なっかしいような勝負をしなければならない時だってある…

 最近 僕は、そんな風に考えるようになりました。

 僕が好きな戦国武将の徳川家康が、その生涯の内で、完全な敗北を喫したという戦さがあります。

 それは武田信玄と戦った 「三方ヶ原の戦い」 です。

 これは家康にとって、本当に無謀というか、あまりにも多くのものを失った戦さでした。

 家康はこの戦さで、多くの忠臣を失い、追い詰められて命からがら城に逃げ帰った時には、馬の鞍に脱糞していたというほど激しい戦さでした。

 家康はその時、二度とこんな戦さはしまいと、その時の憔悴しきった自分の顔を絵師に描かせ、自戒の意味を込めて、ずっとその絵を肌身離さず持っていたと言います。

 僕はこれまで、この 「三方ヶ原の戦い」 ほど家康らしくない、愚かな戦さはないと思っていました。

 でも、今になって、この戦さはある意味、本当に天下人らしい決断をした家康の戦さかも知れないと思うようになりました。

 結果的に負けちゃった事は事実ですし、家康の身代わりになって死んだ部下の事を考えれば、確かにこれは間違った決断だったとも言えましょう。

 でも、ひょっとしたら、この時の家康の決断は、ある意味正しかったんじゃないかって思うように、僕は最近なってきたんです。

 この当時、武田信玄という戦国時代最強の古将に叶う相手は誰もいませんでした。
 この頃の天下を目前にしていた織田信長だって、信玄にだけは歯が立ちません。
 それほどまでに、武田信玄という武将の実力は突出していました。

 この武田信玄が、戦国最強の二万七千の大軍勢を率いて、家康の領土である遠州に乱入してきたのです。

 家康が有している軍勢は、たった八千に過ぎません。

 織田信長は、浜松城にいる家康の為に、援軍として兵三千を差し向けたものの、「早く浜松を引き払って岡崎城へ戻られよ」 と助言を与えます。

 さすが信長です。これ、すごく合理的な方策です。
 どうせ負けるんだから、兵を減らす前に早く逃げてきちゃったほうがいい… という訳です。

 それでも、負けず嫌いな家康は、浜松城にずっとこもっていました。
 城の中にいれば、まだ多少の勝ち目は残っていますから…

 ところが、やはり戦国最強だけあって、武田信玄はしたたかです。

 なんと、浜松城を完全に無視して、二万七千の兵をひきつれて、家康の領土を西に向かって堂々と横断していったのですね。
 京都に上洛するのが目的だから、家康なんて無視… という訳です。

 浜松城にいた家臣や信長からの援軍の武将たちは、みんな胸をなでおろして安堵しました。

 ところが、突然家康は立ち上がって、この武田軍二万七千の軍を攻撃すると言い出したんです。

 家康の兵八千に、信長の援軍三千を合わせた所で、一万一千にしか満たない兵で、最強の強さを誇る武田の甲州軍団に挑んだところで、万に一つも勝ち目がありません。

 家康は家臣たちを見まわしてこう言いました。 

 「考えても見よ。このまま居すくんでおれば、弓矢の恥辱はもとより、徳川めは敵に枕の上をまたがれても起き上がれぬ臆病者よと、世にも人にも嘲けられるは必定。ならば、いっそ息の続くかぎり戦ってみるまでのことよ」

 ここが確かに家康の軽率でもある所なんですけど、ただの大名の器ではなくて、天下人の器でもある所だと思うんです。

 自国の領土に、他国の軍勢が勝手に入ってきて、やりたい放題やっている…

 これを恥と思うか、「まあ信玄だから仕方ないよ」 って思うかは、それぞれの所です。

 確かにこのまま放置してやりすごすのが、一番現実的な方策ですが、これを許したら、従っている国人たちの心も離れていくかも知れません。

 だって、いざという時に、何にもできない主なんて、頼りがいがないですから…

 人生には時に、どうしても避けて通れないような関門が目の前に立ちふさがる事があります。
 たとえ不利な展開がわかっていても、そこから適当に逃げ出せば、今度は自分の言葉の整合性が取れなくなる…

 ケースバイケースですけど、ここで不利を承知の上でも、筋を通した行動を取れる人が、きっと大きく伸びる気がします。

 この 「三方ヶ原の戦い」 は、徳川家康にとって、惨憺たる負け戦さでしたが、代わりに家康は部下や世間からのゆるぎない信頼というものをつかみました。

 あえて勝負に出なければならない時もある…
 
 僕も家康みたいに、その時が来たら正々堂々と、運を信じて勝負をしようと思います。


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